公益財団法人 明治安田厚生事業団

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健康づくりウォッチ

自分の意思で動くことが脳の健康を支える!

物事を考えたり、覚えたりする脳の働きを「認知機能」といいます。
加齢による認知機能の衰えを防ぐためには、どんな点に留意すればよいのでしょうか?

脳の健康を2つの視点で考えよう


日頃、活発に身体を動かしていると、認知機能の低下が緩やかになるといわれています。運動によって認知機能が一時的に向上することも似たような効果に見えますが、じつは大きな違いがあります。

これまでの研究から、加齢により脳が萎縮すると認知機能が低下することがわかっています。また日常的に身体を動かしていると、脳の大きさが保たれ、認知機能低下が穏やかになると考えられています。

「自分はまだ若いから大丈夫!」と思う方にとっても、たった1回の運動で、一時的に認知機能が向上し、気分がリフレッシュされることが明らかになっています。これらの効果は体力レベルによって異なり※1、運動習慣のある方は少し息が上がる中程度の運動が、普段運動していない方はストレッチなどの軽い運動が適しています※2

このように、脳の健康について考えるときは、長期的・短期的な視点の双方が大切になります。

脳の健康に良い運動とは?


運動が脳の健康に良いといわれても、何をすれば良いのか悩む方も多いでしょう。また、自分の体力に合った運動とは何かもわかりにくいものです。

私たちの研究では、電気刺激で筋肉を動かすグループと、エアロバイクを自分の意思で漕ぐグループに分けて、運動の前後に認知機能を測定しました。するとエアロバイクを漕ぐグループのみ、運動後に認知機能の向上がみられました※3,4。電気刺激による運動は、脳から筋肉への「動け!」という指令なしに筋肉が動くのに対し、エアロバイクでは脳から「ペダルを漕いで!」という指令が筋肉に伝わって動く、という違いがあります。この結果から、脳の健康には、まず自分の意思で身体を動かすことが重要なポイントだといえそうです。自分の意思で脳の健康を支える"自力作善"な健康づくりに、ぜひ挑戦してみましょう!


【出典】
※1 Sudoら, Frontiers in Behavioral Neuroscience (2022)
※2 Andoら, Advances in exercise and sports physiology (2018)
※3 Andoら, The Journal of Physiology (2024)
※4 Sudoら, European Journal of Applied Physiology (2024)


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著者
須藤 みず紀 Sudo Mizuki
公益財団法人 明治安田厚生事業団
体力医学研究所 副主任研究員

専門分野 運動生理学
主な研究テーマ 健康増進に資する身体活動と脳-骨格筋の相互連関の解明
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