健康づくりウォッチ
2024年3月15日
筋肉を動かすことで脳を元気に!
体だけではなく、脳も健康だったらいろんなことに挑戦する機会も増えて
充実した生活を送れるかもしれません。
充実した生活を送れるかもしれません。
脳からの指令で筋肉を動かすことが脳の元気の源に?
人生100年時代。歳を重ねても脳の健康は保ちたいものです。最近の研究から、若い頃から身体活動量が多い方の認知機能は、高齢になっても良好であることが報告されています*1。身体活動には、スポーツ等の運動だけでなく、日常的な生活活動も含まれます。体を動かすために欠かすことができない器官は骨格筋ですが、骨格筋を動かすのは脳からの指令です。
例えば、「歩こう!」と思うと脳から脚の筋肉へ電気信号が伝わり、脚の筋肉が動いて歩くことができます。これまでの研究から、意図的に脚の筋肉を使わせない動物モデルでは、脚の筋肉を使うモデルと比べて、脳内の神経細胞が約70%も減少することがわかっています*2。更なる検証は必要ですが、「脳からの指令」と「骨格筋の動き」が相互に作用することで、脳の元気の源になる可能性があるかもしれません。
外からの刺激で筋肉を動かすことが脳の元気をサポートする
筋肉を使う身体活動を積極的に行うことが望ましいですが、デスクワークや怪我などで思うように出来ない場合もあるでしょう。筋肉は脳への効果のみならず、体の代謝を正常にコントロールする大切な役割を担っているので、不活動状態は避けたいところです。
そこで私たちは、軽い電気刺激によって外部から意図的に筋肉を動かすことの効果を検証しました。腕の筋肉を使う運動と並行して脚へ電気刺激を加えた結果、電気刺激がない場合に比べて認知機能が高まる可能性が示されました*3。近い将来、電気を活用した脚への筋肉刺激を行いながらのデスクワークで、脳を元気にするスタイルが生まれるかもしれません。
私たちの体は、筋肉、脳、心臓などいくつもの臓器・器官から成り立っていますが、それらは必ず連携しています。サッカーの試合で見られる華麗な連携プレーのように、筋肉と脳のつながりを意識しながら積極的に身体を動かすことをおすすめします。
【出典】
*1 Jamesら,Journal of Neurology, Neurosurgery & Psychiatry(2023)
*2 Adamiら,Frontiers in Neuroscience(2018)
*3 Andoら,Journal of Physiology(2023)
*1 Jamesら,Journal of Neurology, Neurosurgery & Psychiatry(2023)
*2 Adamiら,Frontiers in Neuroscience(2018)
*3 Andoら,Journal of Physiology(2023)
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著者
須藤 みず紀 Sudo Mizuki
公益財団法人 明治安田厚生事業団
体力医学研究所 副主任研究員
専門分野 運動生理学
主な研究テーマ 健康増進に資する身体活動と脳-骨格筋の相互連関の解明
須藤 みず紀 Sudo Mizuki
公益財団法人 明治安田厚生事業団
体力医学研究所 副主任研究員
専門分野 運動生理学
主な研究テーマ 健康増進に資する身体活動と脳-骨格筋の相互連関の解明