研究所レポート
2018年6月18日
第65回アメリカスポーツ医学会で発表
自発的な運動を促す豊かな環境での生活が気分と認知機能に及ぼす影響について、発表しました。
学会情報
学会名
第65回アメリカスポーツ医学会(ACSM’s 65th Annual Meeting)
日程
2018年5月28日~6月2日
開催地
アメリカ・ミネアポリス
ポスター発表
発表者
須藤みず紀、安藤創一、永松俊哉
タイトル
Increased exercise activity in an enriched environment improves anxiety-like behavior and cognition.
概要
運動の実施は、認知機能の向上やメンタルヘルスの安定に効果的であることが知られています。しかし、現代社会において運動実施の時間を確保することは、容易なことではありません。
では、生活活動のなかに運動を溶け込ませることで、メンタルヘルスや認知機能を向上させることはできないでしょうか。そこで本研究では、動物モデルを用いて、自発的な運動を促す遊び道具を設置した環境がメンタルヘルスと認知機能に及ぼす影響について検証しました。
その結果、通常環境で飼育された動物と比べて豊かな環境飼育の動物は、①運動活動レベルが増加すること、②不安な感情が抑制されること、③学習記憶能力が向上することが明らかになりました。さらに、6週間の豊かな環境における生活により、骨格筋の量が増加することも示されました。
これらの結果は、日常的に身体を動かすことが、心身の健康を促す可能性が高いことを表しています。運動は、特別な時間が確保できなくても実施可能です。日常的な身体活動を促す工夫(例:階段の利用、こまめな歩行など)だけでも、「心身の豊かさ」を得ることができるかもしれません。本研究が、個々人にとっての「豊かな環境」を探索するきっかけにつながることを願っています。