公益財団法人 明治安田厚生事業団

お問い合わせ

  • 公益財団法人 明治安田厚生事業団 03-3349-2741(代表)
  • 体力医学研究所 042-691-1163
  • ウェルネス開発室 03-3349-2741

平日9:00~17:00(年末年始、祝休日を除く)

研究所レポート

川上研究員に聞きました

川上研究員は2022年10月に体力医学研究所に着任しました。現在取り組んでいる研究や今後の目標について伺いました。


プロジェクトメンバーと川上研究員(写真左中央)


川上さんが入所されたときの歓迎会で、いきなり美しく「逆立ち」されたのには驚きましたが、今でもあのようなパフォーマンスができるのは、かなり幼いころから体操をしていたのですか?

母いわく姉につられて始めたそうで、物心ついたときには体操教室に通っていました。小学校までは体操教室に通い、中学から大学までは部活動で。ただ、体操競技はいつまでも続けられるスポーツではないので、その後は周りの影響もあってなんちゃってでフルマラソンに出たり、水泳でマスターズに出場したりもしました。現在は特に決まったスポーツをしていませんが、生涯続けられるスポーツを近々見つけたいなと思っています。

学部を3年間で卒業したと聞きましたが、はじめから研究者を目指していたのですか?

そんなことはありません。
修士を終えた直後は研究者になる自信などまったくなく、先輩が夜な夜な人生相談にのってくださいました。研究者になるには、オリジナリティのある研究テーマを見出し、研究資金を獲得し、研究室を運営・先導しなければならず、語学力も必要だし、私にはハードルが高すぎると感じていたのです。
それで、しばらくは別の進路を探しましたが、なかなかうまくいかず…。
最終的には、研究をする道しか選択肢がない状況となり、上司の支援もあって、博士課程へ進学、研究者の道に進む覚悟を決めました。
今思えば、もし他の進路にチャレンジしていなかったら、「別の道に進んでいれば・・・」という後悔(たられば)があったかもしれませんが、あのとき、いろいろチャレンジしたおかげで、現在も前向きにこのポジションにいることができています。結果はどうあれ「やらないで後悔するなら、やって後悔したほうがいい」というのが、持論です!

もし研究者になっていなかったらと思うことがありますか?

キャリアをスタートしたときには、分からないことが多くて不安のほうが強かったのですが、時を経て、周囲の状況がある程度見えてくるようになったので、むしろ研究者としての活動を楽しめていると思います。今となっては研究者以外の職業は考えられません!

もともと運動生理学が専門と聞きましたが、運動疫学に変わった理由がありますか?

学部・修士のころから健康づくりに興味がありました。修士が終わって、身体活動ガイドラインの改訂に携わらせていただき、運動疫学分野の先生や論文と出会ったことが大きなきっかけだったかもしれません。
これまでの根源的テーマとしては「健康づくりのための身体活動・体力とその評価法」に関する研究を進めてきました。具体的には「身体活動・体力レベルと疾病リスク」、「スポーツ観戦の健康効果」、「身体活動量・筋量の評価法」などです。例えば、シニア向けオンライン運動プログラムの社会実装研究プロジェクト(八王子プロジェクト)でも、筋量の評価法を用いた測定をしています。

八王子プロジェクトメンバー


現在取り組んでいる研究をひとつ教えてください。

誰でもどこでも簡単に測定できる筋量の評価法の提案を目指して、特に“ふくらはぎの太さ”に着目した研究を進めてきました。ふくらはぎの太さは、サルコペニア診断における筋量指標である四肢筋量/身長2 (kg /m2)と強く相関するため、筋量の簡易指標となり得ることが確認されています。八王子プロジェクトでも、高齢者を対象としてふくらはぎの太さの測定をしており、個人内の変化が評価可能かを明らかにする分析を進めています。

ふくらはぎ周囲長(cm)と四肢筋量/身長²(kg /m²)の相関



この研究所の特徴というものがありますか?

ここは、身体活動・運動や体力分野を主軸とした研究にプロジェクトとして専念できる環境が整備されている、わが国で随一の研究所だと自負しています。
プロジェクト制で、研究員と研究技術員からなるチームでディスカッション・協力しながら研究を推進できるのはありがたいですし、当研究所の強みです。個々に得意な技能(デザイン設計、現場との調整、分析、広報など)があり、いろいろな局面で、これらの優れた能力が集結すると、個人では到底及ばない大きな成果を生むことができると実感しています。

今後生涯を通してやっていきたいこと、研究者としてのゴールはどのようなものですか?

「楽しくカラダを動かして、無意識のうちに、みんなが健康になれる社会づくり」を目指して、現場で役に立ち、ひいては人々の健康や幸せにつながる身体活動・体力分野の研究を推進していきたいと思います。

最後にずばり、座右の銘を伺ってもよろしいですか?

「一期一会」ですかね。
私自身の人生そのものが「ご縁と運とタイミング」でここまで来ることができました。出会い(機会)や今この瞬間を大切に日々過ごしていきたいです。

インタビューを振り返って
「ご縁と運とタイミング」
これは、とても川上さんらしいですね。他者とのつながりを大切にされ、奢ることなく、つねに真摯に自分の人生と向き合う姿勢からにじみ出てくる素敵な言葉だと思います。


ページの先頭へ戻る▲